【追加記事】個別銘柄 3902メディカル・データ・ビジョン(MDV)ver.2

2020年10月28日

以前の記事では、メディカル・データ・ビジョンの事業の基礎的な内容について紹介させていただきましたが、今回はオンライン診療が業績にどの程度影響を与えるかに関する私の考察を紹介します。
先に結論を話しておくと、影響は軽微。仮にこのネタで大きく上がるのであれば一部利確して、落ち着いたころに買い戻しを推奨です。9月現在現物と信用合わせて10,000株ほど持っていますが、私のトレード方針としては仮に短期で2,500円付近まで行けば半分利確予定です。

オンライン診療

オンライン診療関連銘柄、もしくは次期総理総裁の呼び声高い菅さんのデジタル庁構想(記事はこちら)ということで、メディカル・データ・ビジョンも買い煽られています注目を浴びています。そこで、そもそものオンライン診療とはどういった制度なのかから見ていきたいと思います。

オンライン診療とは、その名のごとくオンラインで診療行為を行うというものです。以前から構想はあり、ごく一部の症例ではオンライン診療は可能となっていました。禁煙外来やAGA(はげ)ED治療などですね。

オンライン診療自体は海外では既に行われている国も多く、日本においてもだいぶ前から要望などは出ていました。しかし、医師会が猛反対を続けており、医師会と距離の近い厚労省も足並みを揃えて本格導入をのらりくらりとかわしてきました。

ちなみに官公庁は互いに中が悪く、経産省や内閣官房などは医療へのオンライン導入に比較的積極的でしたが、医師会に距離の近い厚生労働省が反対し、医師会が自民党を支持していることもあるので、結局うやむやになっていました。

なぜ、医師会はオンライン診療に反対するのでしょうか。
それは、医師会に加入している人たちとオンライン診療の診療報酬が関係しています。

まず医師会に加入している人です。

医師会に加入している人の役半数はA(1)会員です。A(1)会員とは
病院・診療所の開設者、管理者及びそれに準ずる会員
になります。要は病院の医院長ですね。

さて、そのA(1)会員の中でももっとも多いのは診療所開設者です。世間一般的には、病院は病院だと思いますが、病床数(ベッド数)に応じて区分があります。まず病床数というのは勝手に増やしたりできるものではありません。そしてその病床数の数によって病院と診療所(クリニック)が区別されます。
普段、ちょっとした風邪などでいく病院は実は病院でなく診療所です。

さて、医師会というのは診療所の医院長というのが大半を占めているというのが大きなポイントです。

医師と聞くと儲かっているイメージがありますが、病院経営としては苦しいところが結構多いです。これは病院も診療所も共通です。もしオンライン診療が本格的に導入されるとさらに苦しくなることが予想されます。

今でもいろいろ条件はあるものの電話診療というものがありますが、直接診療する対面診療と比べて診療報酬が抑えられています。オンライン診療の算定報酬については、議論中のところも多いですが、対面診療よりは抑えられることが考えられます。
診療報酬が抑えられるということは、売上の低下を意味しますので、特に診療所にはダメージになります。

そのうえ、オンライン診療が解禁されると、今までは地方の医療機関に通っていた人もエリア関係なく診療を受けられることになるので、オンラインに対応できない高齢の医者が地域の患者を失うことになります。

なので、医師会は対面で診療しないと重大な症状などを見逃すと断固反対してきました。オンラインをやるにしても、一部の症例に限定したり、初回は対面診療や一定期間の診療を続けて初めてオンラインをできるようにするなど、いろいろと調整をしてきたわけです。

それが、予期せぬコロナの流行で急に状況が変わりました。
コロナにより厚生労働省は初回の診療からオンライン診療を認めるという通知を出しました。(0410通知)
これにより一時的にではありますが、オンライン診療が一気に解禁されたのです。

医療機関への影響

コロナの流行により、医療機関の経営が厳しくなったのはニュースでもよくやっているのでよく知られているかと思います。
コロナ患者を受け入れて経営が厳しくなった医療機関は非常に気の毒であり、政府はしっかり保障なり対処してあげるべきだと思います。

一方で、コロナ患者を受け入れていない医療機関はもっと大きなダメージを受けています。
今までは、不要不急の診察を受けていた人が来なくなったのです。たしかにコロナ感染が怖いから受診控えをしている人は多いと思いますが、実際は暇つぶしにシップなどをもらいに行っていたおじいちゃんおばあちゃんが不要不急の診察をしなくなったのが大きいでしょう。

収入が減った医療機関は否が応でもオンライン診療に乗り出さざるを得ない状況になりました。
今はオンライン診療については電話なども含めて、特例下で簡易な方法でできます。一方、メドレーやMICINが提供しているオンライン診療ツールを導入するには、それなりにコストがかかります。

オンライン診療による診療報酬は対面診療より増えるわけではないものの、コストが追加されるのは医療機関にとっては非常に厳しいです。また、オンラインであれば現金での決済もできないので、決済手数料も負担になります。

オンライン診療システムを利用している医療機関は利用者に対して、価格転嫁をすること自体は可能です。実際に500円から1,000円くらい請求している医療機関も多いです。ただし、実際には請求をためらうところも多いです。
理由は、利用者の自己負担は1割から3割だからです。

例えば、診療で5,000円かかったとすると、1割負担であれば500円、3割負担であれば1,500ですね。そこに500円追加されると、診察代が3割から5割増しになってしまいます。そうなると、患者が離れていくことになります。なので、非常に悩むのです。

一方、いわゆる大病院については、オンライン診療の影響はそこまで大きくありません。というのも、大病院にくる患者はそれなりに重たい疾患のことが多く、そもそもオンラインの対象者は多くないからです。

まとめると、小さな病院(診療所)は影響が大きく、会員が多い医師会がいままで反対してきたのです。今は一時的に認められているものの、コロナが落ち着くとまた医師会が反対キャンペーンを始めるでしょう。

メディカル・データ・ビジョンへの影響

まずメディカル・データ・ビジョンのオンライン診療がらみのサービスを確認していきましょう。

医師BANKというサービスをリリースすることを5月に発表しています。これは、ざっくり説明すると患者が過去の診療記録を医療機関にスムーズに伝えることで、オンラインでも的確に診療できることをサポートするものです。

このサービス自体はほぼ広がらずに終わることは間違いないと思います。その理由は、患者と医療機関の双方がこのサービスを利用している必要があるからです。

医療機関に対しては、メディカル・データ・ビジョンはそこそこサービスを提供していますが、患者個人に対してはあまりサービス展開できていません。医療系の個人向けアプリはさまざまな企業やベンチャーが覇権をとろうと頑張っていますが、どこも苦戦しています。

xxPAYの覇権争いに似ています。

可能性があるとすればLINEとm3連合ですが、LINEのアプリと医療機関はあまり親和性がないので厳しいでしょうね。

さて、改めてメディカル・データ・ビジョンの事業に関して言うと、医師BANKが業績にあたる影響は軽微でしょう。むしろ赤字にならないようにあまり何もしないでほしい。。。

一方、メディカル・データ・ビジョンの主要顧客はDPC病院であり、いわゆる大病院です。なので、オンライン診療の普及で何か悪いことが起きるということもあまりないです。

つまり無風を予想します。

まとめ

オンライン診療はメディカル・データ・ビジョンに良い影響も悪い影響も与えないでしょう。
このネタで大きく上がったときは冷静に利確しましょう。
これから買う人は、オンライン診療関連銘柄と誤認しないように注意しましょう!

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