個別銘柄 2193 クックパッド

一時期はレシピサイトの有料会員数も順調に増え、非常に高利益率を誇っていたクックパッドですが、近年は業績も株価も低迷しています。
一方、最近はクックパッドマートという新サービスの拡大もあり、注目度も高まっているので今後ウォッチしていくべき点など紹介します。

目次

企業概要

2193 クックパッド

料理レシピサイドのクックパッドを展開しており、料理レシピサイトでは国内最大手です。
一方、近年は調理手順を短い動画にまとめた競合サービス等の台頭もあり、有料会員数やサイト利用者数は頭打ちです。
また、以前起こったお家騒動の影響もあり、はっきり言って暗黒時代😱を迎えていました。

過去のお家騒動については、マールオンラインの以下のサイトが短く分かりやすいです。
https://maonline.jp/articles/oiecookpad0422

なお、四季報では以下のように紹介されています。(2020年6月26日)

【特色】料理レシピサイト最大手。個人向け有料会員、広告収入が柱。ピックアップ型生鮮ECを育成
【連結事業】国内レシピサービス・会員63、同・広告26、他12 <19・12>
【増 額】高収益のNTTドコモとの連携事業終了は痛打。ただ、新型コロナで自炊人口増えレシピサイトの有料会員増加基調。苦戦の広告も好調な食品企業の需要上向き前号想定超え。前期発生したのれん減損7億円見込まず。営業益やや増額。税平常化。
【支 援】延期・中止となった食イベントのオンライン開催を支援。生鮮ECでは飲食店の出店募集開始、総菜などの商材拡充。

【株主】
佐野陽光              4,658(43.3)
BNPパリバルクスJ.ヘンダーソンホライゾンF           324 (3.0)
凸版印刷              321 (2.9)
日本マスター信託口           282 (2.6)
MSIPクライアントセキュリティーズ            268 (2.5)
バンク・オブ・ニューヨーク・メロン140051   211 (1.9)
日本トラスティ信託口       149 (1.3)
日本TS信託口5  134 (1.2)
BNYメロンAsAgtノントリーティジャスデック         122 (1.1)
日本トラスティ信託口1    89 (0.8)

【役員】
(取締)佐野 陽光 
(取締)岩田 林平 
(取締)北川 徹* 
(取締)柳澤 大輔*            
(取締)伊賀 泰代*            
(代表執行役)岩田 林平     
(執行役)佐野 陽光            
(執行役)犬飼 茂利男        
(執行役)保田 朋哉            
(執行役)成田 一生            
(執行役)福崎 康平

自社

クックパッドはレシピサイトのプレミアムサービス会員から得られる収入と、レシピサイトに掲載される広告収入が主な収益源です。また、出版物や海外事業による売上も10%強程度存在します。

こちらはFY2019の決算資料による情報です。

なお、先に断っておくと私はクックパッドの経営陣はあまり好きでないです笑

成長戦略不在のままぬくぬくと大した手も打たずにボーっとしていることや、IRで投資家にまともに数字を開示していないことなどが理由です。

https://pdf.irpocket.com/C2193/djAz/j9EL/UKPI.pdf

こちらは、FFY2020の2Qに関する決算説明資料ですが、前半半分はポエムです。

それでもクックパッドに注目する理由は、クックパッドマートのビジネスモデルの面でも話題性の面でも時流にマッチしていると考えており、そのあたりについて説明していきたいと思います。

まず、全体の売上と利益率です。

SPEEDAより引用

過去の貯金はあるからよいものの、これからどうなるか心配になる業績です。

国内レシピサービス会員売上

毎月の有料会員×月額料金(280円)が毎月の売上になってくるので、まずは会員推移をみていきたいと思います。

こちらは、最新のデータです。

こちらは過去3期分でのデータです。

料理が好きでいろいろなレシピをチェックしたい人を中心として、固定ユーザーをつかんでいると言えると思います。一方、料理好きとまでいかないライトな層にとっては、数あるレシピの中からわざわざ作りたいものを選ぶよりは、シンプルに選択肢を一つだけ提示してくれる動画等のほうが好まれており、そのあたりのユーザー獲得ができていないのかもしれません。

国内レシピサービス広告売上

次にレシピサイトから得られる広告収入について、見ていきたいと思います。
まずはどのくらいの人がサイトを利用しているかから見ていきましょう。

利用者は減少傾向にあると言えます。

次は最新の広告収入を見ていきます。

昨年度よりも巣ごもり需要等により広告収入が堅調に推移したことがうかがえます。

そもそも毎回の決算発表資料のKPI項目くらい同じものを用いてほしいところですが。。

その他(クックパッドマート)

海外事業や出版事業等も行っていますが、ここではウィズコロナの時代に注目を浴びると考えられるクックパッドマートについてみていきます。

新型コロナの流行により、食に関する習慣は言うまでもなく大きく変わっています。(特に東京在住だと強く感じます)

・外食からテイクアウト、自炊に
・居酒屋からファストフード優位に
・自炊の増加
・食材宅配サービスの利用増加

あたりが主なところでしょうか。

首都圏を中心に展開する大手スーパーは増収増益の様相を呈しており、自炊が増えていることは間違いないでしょう。そんな中、食品の宅配を行う「オイシックス・ラ・大地」の決算は好調だったこともあり、食に関する銘柄に関しても、改めて巣ごもり消費関連銘柄を探す動きが強まっています。

食材の配送としては、オイシックス以外にも各スーパー等も乗り出していますが、クックパッドは、ピックアップ型生鮮のECを行っており、現時点では有力な競合がいないことでマーケット関係者が注目をあつめ、株価が動き始めています。

ピックアップ型というのは、消費者の自宅までは配送せず拠点に配送し、拠点へは消費者がピック(取りに行く)しにいく形態のことです。

通常、ECでは配送コストが企業にとっても個人にとっても負担になります。
また、ラストワンマイル(拠点から消費者までの配送網)構築を志向する企業も多いですが、なかなか効率的に運営するのが難しかったりします。

そこで、クックパッドは各地に宅配BOXのようなものを設け、そこに消費者に取りに来てもらうというビジネスモデルを展開しようとしています。この方式のメリットは、

・配送箇所が少なくて済む
・再配達が発生しない
・配送ルートが固定化される

ことにより、コストを大幅に圧縮できます。

また、消費者にとっては取りに行くことで配送費がかからなくなる、スーパーと違いいつでも時間を気にしなくてよい受取時間に家にいる必要がないなどのメリットがあります。

初期に拠点を確保するのに苦労はしますが、コロナによる宅配ニーズの高まり拠点設置による不動産の収益性向上(自販機を設置するイメージです)などがら、かなり追い風になっていると思われます。

さて、正確な最新の拠点数は分かりませんが、2020年1月末時点で66か所に拠点(ステーション)を設置しています。
そこから半年たち、仮に200か所に設置されているとしましょう。
(ちなみにアプリ上で拠点は確認できますが、一覧リストはないです。)

1ステーションあたり平均20人が2,000円利用したとすると、

月間売上

200か所×20人×2,000×30(日)=2,4億円となります。

クックパッドの2019年度の年商は117.5億円なので、平均月商は10億円に満たないことから非常にインパクトのある数字になります。このあたりを期待して、クックパッド株を買いに行くのは短期的な戦術としてありだと思います。

では、中長期的な戦略としてクックパッド株の買いについても考えていきたいと思います。

まずは、しばらくの間は費用が先行することから、利益は期待できないでしょう。
大切なのは、サービスが拡大した後に競合企業との競争に勝てるかになってきます。

まず、既存のスーパーやオイシックスのような配送事業者とは、そもそものビジネスモデルが違うことからユーザーも異なってくるため、そこまで競合にはならないと考えています。

一方、恐怖となるのは拠点を多く有する事業者の新規参入です。

そう、コンビニ各社ですね。
現在、ローソンなど一部のコンビニが受取拠点にもなっていますが、儲かるとなれば自社事業として行うことは間違いないと思います。
(少なくとも私であればそうします)
要は、コンビニが今やっている配送物の受取サービスの生鮮版みたいなことを始めるわけですね。

コンビニのパートナーとしてクックパッドが選ばれるか、コンビニが自前で事業を始めるかがこの事業の成否を分けると考えています。
そういった意味では、クックパッドに投資する場合は、コンビニ各社の動きをにらみながら場合によっては撤退というスタンスで臨むのが良いと思います。

まとめ

しばらくひどい状態が続いていたクックパッドですが、クックパッドマート事業は注目に値する事業だと思いますので、要チェックだと思います。
ただし、競合各社の動きに左右されますので、撤退もしっかりシミュレーションした上で投資を検討してください。

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